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西夏 霊武窯 水波文双耳小壺

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宋代と同時期に夏州(現在の内モンゴル自治区と陝西省の境界に位置するオルドス地方)に勢力を拡大した西夏王朝の下で、現在の寧夏回族自治区の中部に位置する霊武県で焼かれた双耳小壺。黄釉と黒釉を重ね掛けし、肩部のやや下方に櫛目の水波文が廻らされている。

タングート族が支配する西夏(1038年 – 1227年)は、独自の年号や西夏文字の制定など、漢民族とは異なる文化を形成しており、その創意は陶磁器にも表れている。この壺は13世紀に入り、度重なるモンゴル帝国による侵攻の末の滅亡から元朝建国までのおよそ70年の間に焼かれたものであろう。ヘレニズムのアンフォリスコスを思わせる水波紋の意匠はシルクロードのオアシスであったこの地方の西方的影響を感じさせるもので、彼らの住む砂漠・草原地帯の彼方に揺れる水平線を顕現化させたようである。

1980年代に発掘調査が行われるまでその実態が謎に包まれていた霊武窯。その趾からは交易の為に作られた上手のものから日用雑器まで、幅広い器種の生産が確認されている。黄〜灰色の胎土に黒釉や飴釉、白釉を掛け、掻き落としや陰刻といった宋、磁州窯の影響を表す意匠も多く見られるが、耳付扁壺といった遊牧生活に欠かせない品も多い。一般に磁州窯系と称されているものの中にも霊武窯とその周辺の窯で焼かれたものも少なくないことから、今後さらなる研究と考察が期待される窯である。

発掘伝世品。カセもほとんど見られず、状態は極めて良好。

W10cm × H11.5cm
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