南宋期に焼かれた青白磁（影青）の茶碗。「斗笠盏」と呼称されるこの種の碗は、椅子の普及による姿勢や目線の変化に伴い、より美しく機能的なものとして宋代に発展した。

長江以南に移動した華北の陶工によって生み出された青白磁は、現在の江西省、福建省、広東省など各地で焼かれていた。本作は景徳鎮湖田窯の典型的な作例で、ガラスのような手触りと口縁に集中する力強い貫入がその特徴をよく表している。口縁周辺には幻想的な釉垂れが生じ、薄霧に包まれた湖畔のような幽寂な趣きを湛えている。

高台の窯傷以外に目立った瑕疵は無く、状態は極めて良好。仕覆、保存箱付き。