江戸時代後期に焼かれた古伊万里の猪口。白抜きの円窓に収まった十二支を順番に配す。鷺文などに代表される天明〜寛政期の覗き猪口だが、干支を描いたものは類例が少なく大変珍しい。卯と申が後ろを向いていたり、同じポーズをした戌と亥が左右入れ替わっていたりなど、絵師の遊び心が散りばめられた興趣を誘う図案となっている。

口縁部と高台内に一箇所ずつ窯傷があり、側面に小さな釉切れが見られる。それ以外に目立った瑕疵は無く、状態は極めて良好。保存箱付き。