1600〜10年代に武雄系の窯で焼かれた古唐津の片口。祥古谷窯、或いは李祥古場窯の産だろう。迫力ある大ぶりな器体を成し、草花や鳥を思わせる抽象文を描く。荒く削り出された高台には縮緬皺が生じ、高台内の亀裂も相まって険しい岩肌の様相。青みを帯びた灰釉は随所に釉切れ・釉縮れを呈し、豪胆な作風に一層の野趣を加えている。

口縁に小さな欠けが一箇所見られる。底部の亀裂は反対側には抜けていない。僅かにガタツキが有るが実用に支障は無い。「からつ 片口」と書かれた古箱に収まる。