安土桃山時代に帆柱窯で焼かれた斑唐津の茶碗。砂気の多い胎土が用いられ、厚く施された藁灰釉に細かな貫入が走る。斑の茶碗としては比較的大振りで、内に抱え込むような歪みが生じている。

「斑唐津」は藁灰釉が用いられた唐津焼の一種で、文禄・慶長の役以前に唐津市北波多の岸岳周辺で焼かれた。 その源流は朝鮮半島の咸鏡北道、或いは中国の華南地域とも言われているが、未だ特定はされていない。元々現存数の少ない斑唐津だが、本作のように後天的な痛みのないものは更に貴重。流下する藁灰釉の景色も美しい、器形の歪みを補って余りある魅力たっぷりの一碗。

口縁に一箇所小さな削げが見られ、見込みに茶渋が付着している。多少のぐらつき有り。保存箱付き。