広南国 鉄絵印判法輪文碗
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17世紀に広南国(現ベトナム中部)で焼かれた鉄絵平碗。印判による法輪文を見込みと外面に施し、灰釉を高台脇まで掛ける。蛇の目釉剥ぎに沿って生じた釉溜まりが美しい緑色を呈し、僅かに滲み流れる文様が侘びた風情を醸す。
この手は北部産の安南青花とは異なり、ベトナム中部で焼かれたもので、印判技法の使用や高台の作りなど、福建諸窯との類似点が多いのが特徴。日本には1660〜80年にオランダ船または中国船を経由して輸入されており、長崎や博多、堺、江戸といった交易商業都市から出土している。印判技法に加え、膾皿に酷似した器形などから、1680年代以降に伊万里焼の主力製品となった日用器類への影響も窺わせる。貿易事情と密接に絡んだ、東アジア陶磁器の影響関係を浮かび上がらせる重要な作例。
茶器として伝世している通り、量産品にあって著しく上がりの良い個体。窯傷やフリモノを除いて目立った瑕疵は無い。図録「南蛮・島物」に同手の陶片が掲載。「安南 茶碗」と書かれた箱に収まる。
W15cm×H5cm
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